2015年9月30日水曜日

女優の魅力。

川島なお美さんが亡くなられましたね・・・
今回の内容のブログは、その翌日にFBに投稿したものです。
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もう15年くらいになるだろうか。
私は東京の、あるお店でスタッフとしてお世話になっていた。
その頃の私は、ワインに夢中だった。
ワインの知識と、経験を積むことだけを考えていた。
ある日の営業は‥‥
川島なお美の、ワインディナーだった。
私が興味深いのは、彼女でも、彼女がセレクトしたワインでもなく、ただその小さくて段差だらけの条件の悪い店舗で、有名人がゲストを招いてディナーが出来るんだろうか???と言うところだった。
営業前の、予想よりずっと早めに彼女がやって来た。
「皆さん、今夜はよろしくお願いいたします。」
と、美しい着物姿の彼女はまるで新人スタッフのように、私を含めるそのお店のスタッフに挨拶をした。
ガラス細工のような、かわいい女の子。
それが第一印象だ。
有名な「失楽園」のドラマのあとの話である。
レストランのディナーは、ある意味、戦場だ。
お客様がいらっしゃる前に整えた化粧も、デザートの頃にはハゲかかる。
お客様がいなくなり、片づけが終わる頃には、メイク落としなどなくてもいいような有様だ。(個人差あり。。。念のため。。。)
川島なお美という人は、入店した時と、なんら変わらずにいた。
髪が解けることも、メイクが薄れこともなかった。
私は、彼女の美しさに驚いたのではない。
彼女の、振る舞いや、人に対する気遣いが衝撃的だった。
ただのスタッフの私は、彼女が美しい着物姿で、何段もあるお店の中を行ったり来たり、何人ものお客様に変わらず美しい笑顔で接し、入店から何時間も変らぬ美しさでいることを目の当たりにした。
ディナー終盤に差し迫った頃、どうしても我慢できずに声をかけてみたんだ。
「段差ばかりで、大変ではありませんか? 長時間の着物姿で、お疲れではありませんか?」
彼女はまるで私がゲストであるかのような笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
今、思い返すとそれは彼女の演技だったのかもしれない。
今夜は彼女に乾杯しよう。
女優の彼女に‥‥‥